50代・60代からの住宅ローンと住み替え|残債がある場合の考え方と注意点
50代・60代になり、
「子どもが独立したので、もう少しコンパクトな家に住み替えたい」
「階段の少ない家や、駅・病院に近い場所で暮らしたい」
と考える方もいるでしょう。
年齢を重ねてからでも住宅ローンを利用して住み替えることはできますが、若い頃と同じ資金計画で考えるのは注意が必要です。
ポイントになるのは、「いくら借りられるか」ではなく、「退職後も無理なく返せるか」ということ。
さらに、現在の家に住宅ローンが残っている場合には、売却代金で完済できるかどうかも確認する必要があります。
50代・60代からの住み替えで、まず考えておきたいポイントを整理してみましょう。
50代・60代の住宅ローンは「完済する年齢」から考える
住宅ローンは、年齢が高いから利用できないという単純なものではありません。
ただし、金融機関や商品ごとに申込時年齢や完済時年齢などの条件があるため、年齢によって借入期間が短くなることがあります。
たとえばフラット35では、原則として申込時の年齢から80歳になるまでの期間が借入期間の上限です。
55歳なら最長25年、60歳なら最長20年というように、年齢が上がるほど長期間のローンを組みにくくなります。
ここで注意したいのが、「80歳まで借りられる」と「80歳まで借りても生活に無理がない」は別の話だということです。
現役時代には問題なく返済できても、退職後に収入が減れば負担感は大きく変わります。
そのため、
・何歳まで働く予定なのか
・退職後の収入はいくらになるのか
・年金受給までの期間をどうするのか
・ボーナスに頼らず返済できるか
・固定資産税や保険料、修繕費も払えるか
・老後のための預貯金を十分に残せるか
といった点まで考えておくことが大切です。
返済期間を短くすれば安心、とは限らない
年齢によって借入期間が短くなると、同じ金額を借りても毎月の返済額は大きくなります。
そこで「頭金を多く入れて、できるだけ早く返済しよう」と考えることもあるでしょう。
ただし、50代・60代では住宅購入に手元資金を使い過ぎないことも重要です。
これから必要になるお金は住宅費だけではありません。
医療や介護、車の買い替え、住宅の修繕など、まとまった支出が発生する可能性があります。
住宅ローンを減らすために預貯金の大部分を使ってしまうと、別の支出が必要になったときに困ることもあります。
ローン残高を少なくすることと、老後資金を手元に残すこと。このバランスを考える必要があります。
住み替え前に確認したい「今の家の住宅ローン」
現在の家に住宅ローンが残っている場合は、次の家を探す前に確認しておきたいことがあります。
それが、「今の家を売ったら、住宅ローンを完済できるのか」ということです。
たとえば、
・現在の家の売却価格……2,000万円
・住宅ローン残高……2,300万円
であれば、売却しても300万円が不足します。
住宅ローンが残っている家には、通常、金融機関の抵当権が設定されています。売却して買主へ引き渡すためには、原則としてローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。
そのため、単純に「家が2,000万円で売れれば、その2,000万円を次の家に使える」と考えることはできません。
さらに売却時には、仲介手数料や登記関係費用などの諸費用もかかります。
大切なのは売却価格そのものではなく、売却して住宅ローンや諸費用を支払ったあと、実際にいくら手元に残るのかを確認することです。
売却しても住宅ローンが残る場合は?
売却価格より住宅ローン残高のほうが多い、いわゆる「オーバーローン」の状態でも、住み替えの方法がまったくないわけではありません。
自己資金で不足分を補う
売却代金だけでローンを完済できなくても、不足分を預貯金などから補えるのであれば、現在の住宅ローンを完済して売却することができます。
ただし、先ほど触れたように、老後のための手元資金まで使い切らないよう注意が必要です。
「住み替えローン」を検討する
金融機関によっては、現在の住宅ローンで残る不足分と、新居の購入資金をまとめて借りられる「住み替えローン」を取り扱っている場合があります。
たとえば現在の家を売却して100万円のローンが残り、新居の購入に2,000万円必要であれば、その不足分を含めて融資を受けるという考え方です。
ただし、借入額が増えるため、通常の住宅ローンより返済負担も大きくなります。
特に50代・60代では借入期間が限られることもあるため、住み替えローンを利用できるかだけでなく、完済まで無理なく返済できるかを考えることが重要です。
売却前のリフォームは慎重に
少しでも高く売却するために、「リフォームしてから売ったほうがいいのでは?」と考える方もいるでしょう。
雨漏りや設備の故障など、売却条件に影響しそうな箇所を確認しておくことは大切です。
ただし、リフォームに100万円かけたからといって、売却価格が100万円上がるとは限りません。
売却前に大きな費用をかける場合は、その工事が本当に必要なのか、不動産会社などに相談してから判断するとよいでしょう。
「先に売る」か「先に買う」かも重要
住み替えでは、現在の家の売却と新居の購入をどの順番で進めるかも考える必要があります。
新居を先に購入する「買い先行」では、希望する家を確保しやすい反面、現在の家が予定どおり売れなければ、一時的に住宅費の負担が重なる可能性があります。
反対に現在の家を先に売却する「売り先行」なら、売却後に手元に残る金額を確認してから新居を選べます。ただし、新居が決まるまで仮住まいが必要になることもあります。
50代・60代の住み替えでは、こうした一時的な出費も含めて余裕を持った計画を立てることが大切です。
次の家の予算より、先に「今の家」を確認する
住み替えを考えると、つい最初に「次はどんな家にしよう」「いくらまでなら買えるだろう」と考えてしまいます。
しかし、現在の家に住宅ローンが残っているなら、順番を少し変えてみましょう。
まず確認したいのは、
① 今の家を売却したら、住宅ローンや諸費用を支払ったあとにいくら残るのか
そのうえで、
② 新しい家にいくら必要で、その差額を何年かけて返済するのか
を考えます。
現在の家の価値と住宅ローン残高が分かれば、住み替えに使える自己資金や、新たに必要となる借入額も見えてきます。
査定は「今すぐ売るため」だけのものではなく、これからの住まいと資金計画を考えるための材料として活用することもできます。
まとめ|「借りられる金額」より「返し続けられる金額」を
50代・60代からの住み替えでは、住宅ローンを利用できるかどうかだけでなく、退職後も無理なく返済を続けられるかを考えることが大切です。
現在の家に住宅ローンが残っている場合は、まずローン残高と現在の家の価値を確認し、売却後に実際いくら手元に残るのかを整理してみましょう。
そのうえで、新居に必要な金額、借入期間、退職後の収入、手元に残しておきたい老後資金を一緒に考えていきます。
住み替えは、単に「今の家を売って新しい家を買う」というだけではありません。
これからの暮らしに合った住まいと、これからの収入に合った返済計画をセットで考えること。
それが、50代・60代から無理のない住み替えを考えるうえで大切なポイントです。
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